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柯 念璞(コー・ネンープ)「旗、越境者と無法地帯」

-OPEN SITE 2016-2017 Project B <公募プログラム>

  • 会 期:
    2016年11月26日(土) - 2016年12月25日(日)
    休館日:
    11/28、12/5、12/12、12/19
    時 間:
    11:00 - 19:00
    入場料:
    無料
    主 催:
    公益財団法人東京都歴史文化財団トーキョーワンダーサイト
    アーティスト:
    藤井 光
    琴 仙姫(クム・ソニ)
    高 俊宏(カオ・ジュンホン)
    區 秀詒(アウ・ショウイー)
    キュレーター:柯 念璞(コー・ネンープ)

OSB9_2.jpg 「渋谷事件」とは1946年に東京の渋谷で発生した、在日台湾人と警察との間の抗争事件である。この事件は台湾、中国、日本及びアメリカの権力関係の下で複雑さを帯びた身分と国籍をめぐる問題に関連しており、当時国際社会の注視と抗議を引き起こすと共に数多くの評論が書かれた。この事件が映し出しているのは戦後復興期の都市における貧困とテリトリー争いと無政府状態である。もし都市を一つのリアルな政治空間として捉えるならば、この事件はまた戦後の植民地或いは帝国の内外で同時に進行していた空間の再構築と境界の新たな線引きの一環と見なし得る。これら越境者たちは断裂と横断の時代に投げ込まれ、身分、国籍、法律の保護、いずれも持たない丸裸の状況に置かれていた。台湾の歴史的脈絡の下に捉えれば、この事件は台湾人のアイデンティティ構築の起点であり、また以後の台湾におけるアイデンティティの曖昧さと矛盾性の源でもあった。


 個人の感情とアイデンティティは、国家間の闘争および地域の縄張り争いの下で如何に変化してきたか。これら越境者たちの流浪の足跡は特殊な亡命の地図を描いている。国家と国境の変容は越境者の移動地図とその道筋に影響を与え、また移動者の自己の身分に対するイメージと感情の受容にも影響を与える。地理と身体が相互に交わって織りなされるイメージの構図は、歴史の中で絶え間なく移り変わり、システムにおける中心と周縁の間の権力関係を複製していく。空間の移動と変化のただなかで、前進と後退、同と異、見つめる者と見つめられる者、異郷と故郷の間に存在する重層的な弁証法的関係。彼らは境界線の通過と異郷への進出の過程で如何に自己の身分を形成してきたのだろうか。

B03_2.jpg 本企画は「渋谷事件」を戦後史を振り返る上での特異なポイントとして捉え、変動する国家権力及び国境線の下で個人が直面した赤裸の状態を新たに見つめ直す。時間軸に沿って書かれる歴史とは異なる策略から、沈黙している過去に声を発させることを試みる。決して歴史の研究ではなく、むしろそれに逆らう方式によって、遙か遠くの他郷の声を公的資料、テキスト及び口述記録といった史料の隙間から響かせる。台湾、日本、韓国及びマレーシアから参加した四名のアーティストの視点から、戦後の記憶及びポストコロニアルが経験してきた地理上の移動とコンテクストの変化を整理し、その歴史を改めて振り返ると共に、越境を通じて人の境遇、人間、場所、故郷の意義を問う。

 アーティストたちは植民地の空間的コンテクストとその経験に深く向き合い、それを視線の参照点としながら異なる空間と時間の越境を行った。また社会的、歴史的な時間の隙間を縫って、時間を再構築する作業を試みた。この空間的コンテクストにはアーティストたち自身が生きてきた時代の権利と知識の関係、及び特定の時期における「感覚の構造」(Raymond Williams)も含まれている。複数の視点を通して、歴史事件を過去から切り取り、解放し、救済し、現代と意義のある直接的対話をさせる。そして広大な他者の空間において、国境線の内外に散らばった痕跡、あるいは歴史の断片を糸口として、その糸を自己の人生の道に帰することが可能であるかを探る。

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【Profile】
柯 念璞(コー・ネンープ)|キュレーター。台湾在住。近年は香港、韓国、マレーシアなどでの都市研究とアートプロジェクトに参加し、長期に渡り東アジアの植民地史、社会運動、芸術、都市空間などのテーマについて研究を進めている。
2013年台北鳳甲美術館にて「逆棲―都市辺縁部における対話と再建香港・大阪・台湾」展、2015年「Beyond the Borderline- Exiles from the Native Land―Taiwan, HongKong, Tokyo, Korea and Beijing」のキュレーターを務める。2014年深圳・香港都市建築ビエンナーレ、2015年マレーシアにTransActions in theField―Challenging the Role of Citizen Participation through Participatory Public Artに参加。

【キュレーター】
柯 念璞(コー・ネンープ)

【アーティスト
藤井 光、琴 仙姫(クム・ソニ)、高 俊宏(カオ・ジュンホン)、區 秀詒(アウ・ショウイー)

【Support】
財団法人国家文化芸術基金会(台湾)
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