TEF Vol.9公募プログラム(パフォーマンス/サウンド・インスタレーション)審査員による講評

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今回の応募作品では、パフォーマンス部門全体に、ややスケール感を欠いた。温和しいものが多かったのが気になった。エクスペリメンタルというからには、既存の状況を写し出すだけではなく、将来への展望や、時代や社会を先取りするような、積極的な姿勢を感じさせる内容が必要であろう。その点では、まだ十分定義や内容が定着しているとは言えないサウンド・インスタレーションの方に、未知な領域や型にはまらない実験的可能性が感じられた。

一柳 慧(作曲家/ピアニスト)

このTEFでは、「実験とは何か」ということを、毎回くりかえし問うてきたのだと言えます。より「実験的であること」をめざし、同時代的な必然によって生み出されたであろう作品に、今年もまた多く出会うことができました。今年はとりわけ、インスタレーションは激戦だったと言えます。残念ながら選にはもれてしまった作品にもおもしろいものが多くありました。今回は9回目を向かえるということで、「実験とは何か」という問いを、このTEFが制度としても実験的でありえるかという問題でもあるのだなと考えました。
畠中 実(NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] 主任学芸員)

 

今回の審査で漠然と感じたのは、テクノロジーとアートの関係が、やや停滞ないしは膠着状態に陥っているということ。なんだか「おとなしい」のである。しかし、これは決して悪いことではないようにも思う。おそらくは2000年代前半に起こったこととは根本的に違う新しさが、密かに探求されているのだろう。というわけで、今回は「ローテク」な作品ばかりが印象に残った。実演に接するのを楽しみに待ちたい。
沼野雄司(音楽学者/桐朋学園大学教授)

 

音楽や音をめぐる環境が急速に変化している。デジタル技術の発達とポストメディウム的な状況の下で、一定時間一つの「音楽」を聴く経験が限りなく縮小しつつある。「音」は断片化しながら生活と融合し、聴覚だけではなく身体に働きかける。このような時代に、何ができるのか。審査中に絶えず考えていたのはこういうことだった。選ばれた企画は、どれもそれぞれの方法で二一世紀の音楽や音のあり方を模索したものである。その実験的な試みが具現化していくのが楽しみだ。
毛利嘉孝(社会学者/東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科准教授)

 

今回の審査では様々な問いを繰り返すことになった。「実験的な」とは。ジャンルに拘ることなく国内外から広く募るTEFが意味することとは。表現者でさえ無自覚な「何もの」かも分からないものは、今後醸成されてゆく可能性があるのか。デジタル技術を駆使することで見えてくるもの、或いは、隠されてゆくものがあるのか。過去において同様の試みがあったのではないか。それらの問いへの答えとなる実演で、更に新たな問いが生まれることを期待します。
黒田みのり(トーキョーワンダーサイト事業課長)

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