水路から柔い空へ

レジデンス成果発表展

水路から柔い空へ

トーキョーアーツアンドスペースレジデンス 2022 成果発表展

トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)では、2006年よりレジデンス・プログラム「クリエーター・イン・レジデンス」を開始し、東京や海外の派遣先を舞台に、ヴィジュアル・アート、デザイン、キュレーションなどさまざまな分野で活動するクリエーターたちへ滞在制作の機会を提供しています。

今回レジデンス成果展に参加する4名のうち3名は、東京都墨田区のTOKASレジデンシーで滞在制作を行いました。新型コロナウイルスの影響が依然残る2021年は、海外からの参加者はほとんど居らず、黒田と前谷はほぼ一人で滞在期間を終えました。例年であれば滞在アーティストたちが交流し生活していた場はひっそりとし、彼らはその静けさの中、自身の身体や意識/無意識と向き合い続け、東京の街でのリサーチを進めました。

TOKASレジデンシーのすぐ横には人工河川である堅川が流れています。隅田川から東西に走るこの川は、その上を覆う首都高小松川線の高架によって、全体的に薄暗い印象を漂わせています。彼らはこの運河を日常的に見つめ、そこに都市の空白や虚無を見出し、何らかの気配を掴み取ろうとしました。

デルスは2021年秋に、ベルリンからオンライン・レジデンスで参加し、TOKASスタッフが協働して採取した近隣の音や風景のイメージを用いて、作品制作に取り組みました。本展覧会に合わせて改めてTOKASレジデンシーに滞在し、外廊下から首都高と川を臨む建物の一室で、東京での新たな発見を新作に表します。

一方、ヘルシンキに渡航した上村は現地での交流やリサーチを行い、北欧ならではの針葉樹の森や苔、冬の日照時間の短さ、環境に対する意識が高い生活環境から、日本の都市部とは異なる落ち着いた空気を体感しました。特に、北緯の高さから感じる光の淡さや空の低さ、それらが風景と交わることで現れる優しい色合いが印象的であったといいます。

本展では、彼らがそれぞれの滞在制作を発展させたインスタレーションを発表します。都市計画において整備され、やがて地下に潜った水路の上で、また、手が届きそうな柔らかな空の下で、彼らが掴み取った空気や気配を作品から感じていただけるでしょう。 

開催概要

タイトルトーキョーアーツアンドスペース レジデンス 2022 成果発表展 「水路から柔い空へ」
会 期
2022年7月9日(土)- 8月14日(日)
時 間 11:00-19:00(最終入場は30分前まで)
休館日 月曜日(7月18日は開館)、7月19日(火)
会 場
トーキョーアーツアンドスペース本郷(東京都文京区本郷2-4-16)
 入場料無料
クリエーター
上村洋一
黒田大スケ
前谷開
ルーベン・デルス
主 催公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館 トーキョーアーツアンドスペース
提携機関ベルリン市(ドイツ、ベルリン)、HIAP [ヘルシンキ・インターナショナル・アーティスト・プログラム]、フィンランド文化財団(フィンランド、ヘルシンキ)
※新型コロナウイルス感染症対策のため、変更となる場合があります。


《Pelagos [Helsinki Cathedral] 》 2021

上村洋一|KAMIMURA Yoichi

二国間交流事業プログラム<ヘルシンキ> 
滞在期間:2021.9–11
滞在場所:HIAP [ヘルシンキ・インターナショナル・アーティスト・プログラム]

上村は、視覚や聴覚から風景を知覚する方法を探り、フィールド・レコーディングをはじめとするさまざまなメディアで表現しています。本展では、フィンランドでの滞在中、光や色、音などから得た抽象的で感覚的な体験を、サウンドやドローイングなどを用いて、サウンド・インスタレーションの形式で発表します。


《マッカーサー銅像ミーティング(オンライン)》 2021  撮影:飯川雄大

黒田大スケ|KURODA Daisuke

国内クリエーター制作交流プログラム 
滞在期間:2021.5–7
滞在場所:TOKASレジデンシー

歴史、環境、身体の関係性から、不可視の「幽霊」のような存在に形を与えること主題に制作を行う黒田。東京の公共彫刻と、戦後実際にあったマッカーサー像建造計画についてリサーチをする傍ら、コロナ禍において、ほぼ自身一人のみでレジデンスに滞在していたという環境を重ね合わすことで、あり得たかもしれない架空の「誰か」との対話をインスタレーションで表します。


《scape》 2022

前谷 開|MAETANI Kai

リサーチ・レジデンス・プログラム
滞在期間:2021.10–12
滞在場所:TOKASレジデンシー

自身の行為を変換し、確認するための手法として、主に写真を用いた表現を行う前谷は、東京を流れる川や水路を都市の空白地点と見なし、リサーチを進めました。本展では、映像作品やセルフ・ポートレートなどの写真作品から、風景と身体の関係を探求しています。


《droning supply》 2021  ©Rubén D'Hers

ルーベン・デルス|Rubén D’HERS

二国間交流事業プログラム<ベルリン>
滞在期間:2021.10–12
※オンライン・レジデンス

滞在期間:2022.6–7
滞在場所:TOKASレジデンシー

サウンド・インスタレーションと音楽が交差する活動を行うデルスは、意図的/非意図的に関わらず、頭に浮かぶ音のイメージや、音楽的幻聴について探求しました。 本展ではオンライン・レジデンス期間中にベルリンで制作したサウンド・スカルプチャーやペインティングをさらに発展させ、東京滞在中(2022年6月滞在予定)に見つけたオブジェクトを追加しながら、新たな作品を制作します。   

   展覧会ハンドアウト

デザイン:杉原洲志
PDF:3.8MB

展示風景動画

 

記録映像:宮澤 響(Alloposidae LLC)

関連イベント

アーティスト・トーク 1
開催日時2022年7月9日(土)15:00 - 16:00
出演上村洋一 、黒田大スケ
会場トーキョーアーツアンドスペース本郷
料金 無料
参加方法 予約フォームに必要事項を入力の上、お申し込みください。
※申込多数の場合は、予約受付を終了する場合があります。
アーティスト・トーク 2
     
開催日時2022年7月23日(土)15:00 - 16:00
出演前谷 開、ルーベン・デルス
会場トーキョーアーツアンドスペース本郷
料金無料
言語日英逐次通訳
参加方法予約フォームに必要事項を入力の上、お申し込みください。
※申込多数の場合は、予約受付を終了する場合があります。

参加クリエーター

前谷 開
ルーベン・デルス
上村洋一
黒田大スケ

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