引き寄せられた気配

ACT(Artists Contemporary TOKAS)

引き寄せられた気配

ACT (Artists Contemporary TOKAS) Vol. 5

「ACT(Artists Contemporary TOKAS)」は、トーキョーアーツアンドスペースのプログラムに参加経験のある作家を中心に、注目すべき活動を行なっているアーティストを紹介する企画展として、2018年度より開始しました。今年度で5回目となる本展では、海老原靖、鮫島ゆい、須藤美沙を迎え、見えないものの存在を捉え、さまざまなスケールでその実体とイメージするものの関係性を問いかけます。

本展にあたって、海老原は静止された一瞬の映像、鮫島は古代遺跡の史料、須藤は宇宙観測データを題材としています。それらは、知覚しても認識できないものや、失われてしまったもの、実際には目にすることが叶わないものなど、断片的な瞬間や事象を切り取っていますが、その前後にある広大な時空間へと私たちの想像を誘います。また、物理的に手を動かし構築された作品からは、アーティストそれぞれの視点と豊かな想像力が窺えると同時に、遠い存在のものに対して、私たちが潜在的に好奇心や憧れ、恐怖などを抱いていることに気づかされます。本展で紹介する3名のアーティストは、その視座も手法も多様ですが、それぞれの作品群の背後から不可視の存在が蠢き、漂う気配となって立ち現れるでしょう。

開催概要

タイトルACT (Artists Contemporary TOKAS) Vol. 5 「引き寄せられた気配」
会 期
2023年2月11日(土・祝) - 2023年3月26日(日)  
時 間
11:00-19:00
休館日月曜日
会 場
トーキョーアーツアンドスペース本郷
入場料
無料
アーティスト海老原 靖、鮫島ゆい、須藤美沙
主 催公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館 トーキョーアーツアンドスペース
協 力Wada Fine Arts、KEN NAKAHASHI、SYP Gallery 

※新型コロナウイルスの感染状況により、変更となる場合があります。

アーティスト

《Rose#01》2009

海老原靖|EBIHARA Yasushi 

1976年茨城県生まれ。茨城県を拠点に活動。
海老原は、大衆に消費される存在や薄れていく記憶の儚さを探求し、絵画や立体、写真、パフォーマンスなどさまざまな表現をしています。

本展で発表する「NOISE」シリーズは、映画のビデオテープを一時停止した状態の一瞬を捉えた油彩作品です。断片の連続として流れる映像が時間を引き止められたかのように固定され、走査線によって乱れる画面は静止画でありながら、動きを感じさせます。そこに描かれた女優の顔や風景は、本来のストーリーとは切り離され、鑑賞者に異なるイメージを想起させるでしょう。映像の中に、認識されない瞬間があることを提示することによって、私たちが生活する中でも認知し、意識に残る記憶はごく一部であることを気づかせると共に、消えていく図像と増殖するイメージの混沌を往復させます。

 

《呼び継ぎ(memento/blue)》2022

鮫島ゆい|SAMEJIMA Yui 

1988年京都府生まれ。京都府を拠点に活動。
「見えるもの」と「見えざるもの」をつなぐ、あるいはその両者の境界を示すことをテーマに絵画表現を中心とした作品制作をしています。

本展では、近年取り組む絵画シリーズ「呼び継ぎ」を中心に、古代遺跡や使われなくなった誰かの道具、伝承、オカルトなどを題材として、多角的に空間を構成します。もともと器の欠損部分を他の器の破片を利用して埋めることで、新たな器として再生する金継ぎ技法のひとつである「呼び継ぎ」を絵画制作に取り入れ、作品の中でつなぎ合わされた異なる歴史や物語を持ったイメージの断片から、そこには描かれていない存在を手繰り寄せます。また、鮫島が多用する変形キャンバスは、それら自体も何かの断片のようであり、組み合わせることでまた別の次元を出現させます。


《Moon (the Crater Daedalus)》2021  Photo: 加藤 健

須藤美沙|SUDO Misa

1982年生まれ。埼玉県を拠点に活動。
天体観測や神話に関心を寄せ、体感し難い宇宙空間を紙にピンで無数の穴をあけるという細かな手作業をとおして表現し、宇宙との距離を縮めることを試しています。

紙に穴があく際に裏側へと紙面が押し出され、隆起すると共に生じるうねりや、光の当て方によって多様な変化を見せる様は、我々には知り得ない宇宙のエネルギーを描写します。また、鋭利な道具を用いて一心不乱に紙を突き刺すことで生じた凹凸や裂け目に注目すると、宇宙の神秘的な印象とは裏腹に、荒々しい宇宙の険しさを想起させ、ある種の恐怖感を覚えます。本展では、太陽観測衛星「ひので」が捉えたX線画像をはじめ、研究者へのインタビューや集積したデータをもとに、太陽や土星、天の川などをモチーフとしたインスタレーションを発表します。個々の作品と向き合い、それぞれの星の微細な特徴を味わう空間を構築します。

カタログ

出版物ページよりカタログをダウンロードできます。ダウンロードはこちら




関連イベント

アーティスト・トーク
日時2023年2月11日(土・祝) 16:00-17:30
出演海老原 靖、鮫島ゆい、須藤美沙
会場トーキョーアーツアンドスペース本郷
料金無料(予約制)

*新型コロナウイルスの感染状況により、実施内容が変更となる場合があります。

参加クリエーター

海老原 靖
鮫島ゆい
須藤美沙

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