山本高之

レジデンス・プログラム

国内クリエーター制作交流プログラム

更新日:2019.11.29


山本高之

参加プログラム 国内クリエーター制作交流プログラム
活動拠点日本
滞在期間
2009年5月 - 2010年3月
滞在目的

・滞在中はこれまでの自身の制作を発展させ、より社会や地域に入り込んでいくような活動を目指す。

滞在中の活動

OPEN STUDIO 2009
協働スタジオプログラム 4「 アートと環境との対話」
青山コモンズ 山本高之ワークショップ 
「 みがきッコ」
TWS-Gathering「 CAMAMOTO - between navels - 」
TWS-Gathering「 Portraits of wanted men」


[ 活動報告 ]
■1月~3月
まず1月にBEPPU PROJECT2010の為、大分県別府市に下見に行った。
地域の歴史をリサーチしたり、地獄巡りなど、別府特有の文化を体感する中で、3月の展示に向けての構想を練った。
その間、他のレジデントたちと沢山の交流をする中で、 オープンスタジオの際、アバケと、マットとのコラボレーションを行った。彼らの制作に対する姿勢は示唆に富んでいた。この時の経験は、後述するベトナムを舞台にホアン=ズオン=カムと行ったプロジェクトにおいて大変役立った。
その後は、別府にて「どんなじごくへいくのかな」・「ネームドロッピング」の制作と展示。旧A級劇場にて「スプーン曲げを教える」の展示を行った。
「ネームドロッピング」は、渋谷区児童福祉センターの協力のもと東京でも行い、以前氷見にて行った同様のシリーズとともに成果発表展にて発表した。それぞれの地域の言葉を使ったネームドロッピングを行ってもらう中で、子供たちが自分自身が属するネットワークをどのように位置づけているかがクリアになり、実り多い物となった。
ワンダーサイトをベースにした約一年間の生活において、様々なタイプの様々な作家たちと出会い、彼らの制作への姿勢の中から違いや同じ所を見つける中で、自分の制作に対する視野が広がった様に思う。
僕自身はスタジオにこもって物を作るのではなく、人間関係の機微や水面下のパワーゲムといった人間の小さな心の揺れからアイディアを着想し、作品に落とし込むのが常なので、様々な人が集うワンダーサイトでは、非常に有益に過ごす事ができたと思う。

■9月~12月
夏以降の活動としては、洗車にまつわるプロジェクト・パフォーマンス「みがきッコ」を、あいちトリエンナーレ2010プレイベント「長者町プロジェクト」とオープンスタジオ(「青山コモンズ‐都心の里山学校」」)にて展開。実施することに多くの時間を割いた。
10月から11月にかけて参加した「長者町プロジェクト」は、名古屋市内の繊維問屋街の空き店舗を利用したあーと・プロジェクトで、昨夏に制作した新作のビデオ・インスタレーションの展示を行ったほか、春からガジェットの政策に取り組んできた「みがきッコ」の大規模なインスタレーションとDJ 仕立ての洗車パフォーマンス/ワークショップ「みがきッコジャンボリー」を実施した。また、深夜に路上駐車された車を洗車する「Night Wash」を敢行するなど、本プロジェクトの新しい展開を試みた。
この「みがきッコジャンボリー」は、10月のオープンスタジオ兼「青山コモンズ‐都心の里山学校」の一環として、国連大学構内中庭でも実施した。
国際機関推薦プログラムにより短期ではあったが滞在していたマーカス・コーツの作品や彼自身とのやり取りの中で、作品や制作に関して沢山の示唆を与えられた。
今後は、12月下旬に女子美術大学大学院で行う講義、3月に参加が予定されている別府プロジェクトで行うワークショップ形式の新作、みがきッコに関する本の制作などを進めていく。また、可能であれば滞在が終了するまでに東京で別府や氷見のものと同様のワークショップを行い、来年度初頭の成果発表展を視野に入れながら活動を展開していきたい。

■5月~8月
これまでに、各国から参加している滞在アーティストやキュレーター達とは情報交換や互いの作品に対する意見交換を活発に行い、非常に有意義な時間を過ごした。
5月から8月にかけて滞在していたベトナム人アーティスト、ズオン・カム・ホアンとは、様々なコラボレーションの可能性を語り合い、今後のお互いの作品制作にとっても有意義なアイディアを出し合った。
ベトナム語で「野菜」と「胎盤」が同じ単語(rau)であるという話をきっかけに、結合双生児のユニット「CAMAMOTO」を結成し、野菜で作ったロープで二人の腕をつなぎ、野菜スティックを振る舞うパフォーマンスを6月のオープンスタジオ2009_03で行った。7月には、切り離された結合双生児が究極のコミュニケーションの形として「決闘」を行うという設定のストップモーション・アニメーションを制作、8月にTWS渋谷アートカフェkurageにて二人による即興の演奏付きでの上映会を行った。CAMAMOTOというユニットを一つ(二つ?)の人格ととらえ、切り離された二人のその後がベトナムと日本でパラレルに進んで行く物語をそれぞれに継続/発展させ、最終的に一つの展示として来年中には発表する予定である。その他にも二人で行ういくつかのプロジェクトについても準備を進めている。

オープンスタジオ2009_03でのスタジオ風景

CAMAMOTOでのストップモーション・アニメーション制作 (部分抜粋)





クロアチアから参加していたレオ・カチュナリックは、以前TWS渋谷で行った展示に興味を持ち、10月にザグレブで彼が企画するグループショウに《指名手配犯のポートレート》を出品することとなった。来年は本作品の関連ワークショップを実施する予定である。
その他の活動としては、7月に国連大学 GEICで行われた「バイクトープ2009」に《Yamamoto Car》を出品(現在は後述する氷見市に寄贈)し、作品の試乗を行うワークショップを実施、8月には越後妻有ビエンナーレ2009で行われた「critics coast --批評家の海岸--」の国際ディスカッションにゲスト・スピーカーとして参加した。


越後妻有ビエンナーレ2009でのトーク



8月には富山県氷見市にあるヒミングアートセンターに一時滞在し、氷見市民の協力のもと、新作のビデオ作品《Name Dropping》を制作、一ヶ月間にわたり個展を開催した。この作品は、東京に来てからの経験によって生まれたアイディアで、子供たちが題名の通り自分が知っている様々な人(たまに犬も)の名前を出し合う。方言を伴った独特の間やアクセントで説明される人との関係性や捉え方、またその説明がとても興味深い。これからもこの作品を色々な場所で展開していきたい。


いずれも、氷見市での制作&展示風景





現在、2007年から続けている洗車をテーマにしたプロジェクト《みがきッコ》を、より大規模なインスタレーションに拡大すべく、またパフォーマンスにて実際に使用するためのガジェットを制作中。10月から始まるあいちトリエンナーレ2010のプレイベント「長者町プロジェクト」にてその一部を発表する予定である。 

   

制作中のガジェット 



 
   [ 2009.9月]

クリエーター情報

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