田村友一郎

レジデンス・プログラム

二国間交流事業プログラム(派遣)

更新日:2019.10.29


田村友一郎

参加プログラム 二国間交流事業プログラム(派遣)
活動拠点日本/ドイツ
滞在都市バーゼル
滞在期間
2015年4月 - 2015年6月
滞在目的

私は、これまで土地の歴史的な断片を要素とした作品を提示してきた。あわせて、それらが、美術館などに於いて、多様なメディアを用いながら、プロジェクト・展示としていかに成立させられるかということに興味を持って活動してきた。最近では、その興味は、アートフェアなどのコマーシャルな領域にも広がっている。そのきっかけとして、昨年に参加したアートバーゼル香港での経験がある。昨年、アートバーゼルで発表した作品は、香港における占領・調印の歴史をもとにしたもので、最終的にはローカルな職人との協働で作品を制作した。現地でのこの作品の評判は決して悪く無く、興味深い批評も得た。この手法での作品制作にもう一度、トライしてみたいというのが率直的な動機である。つまりアートフェア、コマーシャルなコンテクストにおいて、ある意味で対照的な手法の滞在制作、ローカルのリサーチ、そしてローカルの人との協働制作ということを、この機会に再度、実践し、検証してみたい。この機会を得ることで、作家活動として新たな領域に足を踏み入れるのは間違いなく、この経験は、今後の作家活動に大きく影響を与えるだろう。そのような意味では、このタイミングが絶好の機会である。

滞在中の活動

スイスという国家、バーゼルという地域性を取り込んだ滞在制作を目指す。その上で、「価値」をテーマに、地域の要素を巻き込んだ協働制作を試みたいと考えている。 スイス・バーゼルの滞在時期は春から夏にかけて。冬のスノーシーズンではないので、きっとスキーブーツは各家庭に眠っているだろう。各家庭を回ってそれらを集めてみる。こんな時期にスキーブーツをいったいどうするんだ?と聞かれるだろう。まずは、そういったやりとりから、プロジェクトを始めてみる。やがては、季節外れのスキーブーツの周りに人々が集い、対話が生まれる。無用な光景に見えるが、希望がある光景である。 もちろん、現地での実際のリサーチをもとに、作品、展示の方向性を探る。ここでは、無価値の比喩として「夏のスキーブーツ」というキーワードを提示した。 アートフェアという価値をダイレクトに扱う場所・時期にこのようなスタートを、まずは試みる。最終的には、「夏のスキーブーツ」を巡る作品を現段階では構想している。ここには、スキーブーツを使ったパフォーマンス作品も含まれる。幸い、バーゼル協奏曲と言うバレエ音楽もある。さらにスキーブーツをモチーフにしたマテリアル作品も試みる。独特のプラスチックな色彩と、硬質なディテールは、コマーシャル・マテリアルとしての魅力(商品価値)も秘めている。

クリエーター情報

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