パウロ・ダンタス

レジデンス・プログラム

リサーチ・レジデンス・プログラム

更新日:2023.10.11

パウロ・ダンタス

参加プログラムリサーチ・レジデンス・プログラム
活動拠点リオデジャネイロ
滞在都市東京
滞在期間2023年5月 - 7月
滞在目的

音文化の研究において私がよく取り上げるテーマである、音楽、日常生活の音、それらを取り巻く環境音の関係性と相互作用の多様性を、音の持つ様々な側面の境界が曖昧であることに強い関心を持ちながら、さらに掘り下げたいと考えている。

滞在プラン
  • 現代東京の都市部における「サウンド・インスタレーション」と呼べるような、外部の刺激を受け活性化し、アート施設外に存在する音の状況を研究する。(例えば、大勢の通行人が奏でる地下鉄の改札の音)
  • そのような音の状況をオーディオ(時にはビデオ)レコーディングする。
  • 前述の活動を概念的にサポートするためのテキストやメモを書く。
  • 上記のリサーチに関連したオリジナル・パフォーマンスやサウンド・コンポジションのスケッチを提案する。
  • 私の最初のソロアルバム『Cidade Arquipélago』(2015年)で紹介した東京都内のいくつかの場所や状況を再訪し、再録音する。
  • 可能であれば、音響系やオフサイトに関わる日本のアーティストと連絡を取りたいと考えている。杉本拓氏の「沈黙の哲学について」にあるような「間」や「沈黙」といった概念に焦点を当てたインタビューを行い、彼らのパフォーマーとしてのかつての実践における環境(すなわちオフサイトやその界隈のシーンなど)のアイデアを調査。
滞在中に行ったリサーチ及び制作活動

東京の墨田区と浅草エリアに焦点を当て、「サウンド・インスタレーション」(または「サウンド・ルーティン」)として組み立てられる都市の音環境を探索した。そのフィールド・レコーディングの一部は、オープン・スタジオで聴くことができ、同時にリサーチ期間中に自身で組み立てた自動演奏楽器に演奏させるための楽譜としても機能していた。

隅田川沿いでのレコーディングの様子―両国駅付近、2023年 Photo by MATSUMOTO Mieko

水中のレコーディングの様子―隅田川、2023年 Photo by MATSUMOTO Mieko

時の鐘付近で行った録音の様子、2023年 Photo by MATSUMOTO Mieko

滞在の成果

自身が今、自分のリサーチの最大かつ最も重要な成果と考えていることは、日常的な状況と美的鑑賞の境界で東京という都市が奏でる「サウンド・ルーティン」を組み立てることに焦点を絞るという決断に関連している。
フィールド・レコーディングの実践や言説において繰り返し批判されてきた「特別な外国の文化的行事」のみに注目するのではなく、日々の出来事や状況を日常的に記録することに専念することで、東京のある地域の営みをより深く掘り下げることができた。また、リサーチ期間中に組み立てた一連の楽器は、さらに発展する可能性を秘めた成果であることは間違いない。

Instruments―オープン・スタジオにて、2023年 Photo by Kai Maetani

クリエーター情報

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