松本美枝子

レジデンス・プログラム

国内クリエーター制作交流プログラム

更新日:2024.4.12

松本美枝子

参加プログラム国内クリエーター制作交流プログラム
活動拠点常陸太田(茨城)
滞在都市/滞在先東京
滞在期間2023年5月 - 2023年7月
滞在目的

経済や機会における不均衡や格差など、都市とそれ以外の地域にある断絶に関心がある。極めて多くの人間を集め続ける都市だが、この環境下で人間が生きていけることの不思議さ、あやうさも感じる。地方と比較して都市生活では自然的条件を意識することは少ないと思われるが、実際には都市の地質や地形、気象は、都市とそこに生きる人々にどんな影響を及ぼしているのか、そしてそこにはどんなナラティブがあるのかをリサーチする。

滞在中の活動
  • 都市の河川と気象(雨量)、地形についてデータの収集。専門家とともに河川管理施設などの行政機関や、研究機関へのリサーチ
  • 都市のインフラ建設と労働力の歴史についてのリサーチ
  • 雨と川について、イメージやナラティブを考えるディスカッションやワークショップの実施
  • リサーチやディスカッションに基づく事象について、複数のメディアでのテスト撮影
  • テクストの執筆
滞在中に行ったリサーチ及び制作活動

リサーチ:滞在中は都市と地方にある格差に関心を持ち、都市の水資源と治水、災害についてリサーチした。水を国家の力と捉えた時、水をめぐるシステムを都市の周縁から観察し、一方で水をコモンズとして捉えるために、歴史的な災害や戦争の側面から地形と河川を見ることを試みた。
作品制作:新たな手法を使って、二つのリサーチのイメージを重ねた写真作品を試作した。また戦災と地理を想起させるサイトスペシフィックな試作品や、戦災と川にまつわる音と映像のインスタレーションを試作し、オープンスタジオで展示した。

首都の利水・治水のリサーチ、2023年

行政経験者へのインタビュー、2023年

隅田川での録音、2023年/協力:Paulo Dantas

関東大震災における朝鮮人虐殺のリサーチ、2023年

東京大空襲の瓦礫で埋め立てられた水路、2023年

滞在の成果

英語を用いて活動する姿勢を養い、他の文化圏で作品を発信する方法を考えられた。写真や映像について、新たなアウトプットに取り組むことができた。試作のプロセスでは、母語のコンテキストに頼らず、より広い鑑賞者層を想定した作品制作を模索できた。
各国のアーティストの生活と制作のバランスも参考になったことから、滞在制作にもっと参加できるようにしていきたい。スタジオで多くのアーティストたちが、毎日、真剣に手を動かしながらアウトプットを続けていたことに大いに刺激を受けた。互いの作品について語り合う時間も多かった。特に「何に興味関心を持って作品をつくるのか?」という点では、改めて、各国アーティストの社会環境が大きく影響していることがよくわかり、日本社会の中で制作活動しているだけでは分かり得なかっただろうと思う。またオープンスタジオに向けて、何人かのアーティストと協働できたこともあり、いずれもこれまでの制作環境では味わえない体験だった。
今後の活動の展望として、海外での滞在制作や展示を視野に入れ、より多くの鑑賞者に向けて提示できる作品を制作したい。そのためにも海外研修などにも積極的に応募し、実現させたい。

オープンスタジオ展示風景、2023年、写真、映像、音、地図、水、石、サイズ可変 /Photo by Kai Maetani

オープンスタジオ展示風景、2023年、映像、地図、サイズ可変 /Photo by Kai Maetani

《無題》 2023年、写真

《無題》 2023年、写真

《無題》 2023年、写真

《無題》 2023年、写真

      

       

《無題》 2023年、シングルチャンネルビデオ、地図、サイズ可変

クリエーター情報

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