キム・ジョンヒョン

レジデンス・プログラム

リサーチ・レジデンス・プログラム

更新日:2024.3.26

キム・ジョンヒョン

参加プログラムリサーチ・レジデンス・プログラム
活動拠点ソウル
滞在都市東京
滞在期間2023年9月 - 11月
滞在目的

パフォーマンス・アートの歴史を勉強している時から「パフォーマンスの再現」に興味を持ち、2017年から、初期パフォーマンス・アートの類似点に注目している。今回のレジデンスでは、1990年代の韓国と日本におけるパフォーマンス・アートの展示と再現について、また、その差異に焦点を当てる。

滞在プラン
  • 第一に、東京の現代美術館のアーカイブ資料をリサーチし、「ダムタイプ|アクション+リフレクション」(2019年、東京都現代美術館)といったパフォーマンスアートの展覧会を開催したキュレーターたちにインタビューを行いたい。今回は美術館のほかに、実験的なシアターパフォーマンスやビデオアートについてもリサーチし、この研究の範囲を広げたいと思う。
  • 第二に、第一段階を経てリサーチの範囲を絞り、主要な展覧会とアーティストをリストアップし、アーティストにインタビューすることを試みる。日本のパフォーマンスアートにおいて、有名なアーティストのみならず、若い世代のアーティストやキュレーターを見つけたいと思う。
  • 第三に、もし第二段階がうまく行けば、「パフォーマンスの再現」に関するパフォーマンスや発表を行いたい。日本におけるパフォーマンスアート史の研究や韓国との比較だけでなく、新しい時代の文脈での新しい世代についても知りたい。私の活動コンセプトが、現代の文化にアクセスする方法を見つけるため、このプロジェクトは、芸術実践として過去(あるいは象徴的な美術史)をどのように再解釈するかを探求するものになるだろう。
滞在中に行ったリサーチ及び制作活動

日本での2ヵ月半のフィールドワークで、日本と韓国の近現代美術の制度、特に美術館の領域に大きな違いがあることに気づいた。このことにより、美術館を中心とした「パフォーマンス・アートの再現(re-enactment)」を探求するという当初の目標の修正が必要となった。MMCA(韓国国立現代美術館)をはじめとする複数の美術館がホワイト・キューブとブラック・ボックスを包括するゾーンを形成している韓国とは異なり、日本の美術館はコレクションを中心とした、より古典的な美術メディアに焦点を当てているようである。そこで、まず日本における舞台芸術のプラットフォーム(土方巽アーカイヴ、Kyoto Experimentなど)やインディペンデント・キュレーターの活動を探った。次に、美術館におけるコレクションの概念やコレクションという行為を拡張する実験的な事例(東京国立近代美術館、東京都写真美術館、アーティゾン美術館、広島市現代美術館など)を調査するため、リサーチの範囲を拡大した。また、様々な世代の日本人アーティストと会う機会を設けるように努め、将来のコラボレーションも模索した。

滞在の成果

韓国と日本のパフォーマンス・アートを比較研究する過程で、制度的なリサーチよりも個々の作品や特定のキュレトリアルな実践活動に焦点を当てるべきだという暫定的な結論に達した。レジデンス期間中、学芸員へのインタビューを通して主要な美術館のコレクションや方向性を知り、興味深い事例をたくさん見つけることができた。今後は、国立国際美術館や金沢21世紀美術館などでフィールドワークを行う予定である。また、土方巽アーカイヴを訪問したことで、舞台芸術の現場でも再演(re-enactment)という概念がより積極的に解釈されつつあることを再確認し、また、この機関が「ジェネリック・アーカイヴ」と呼ぶ実践の広がりのおかげで、様々な事例を収集することができた。以上の発見や、収集したものは、パフォーマンス・アートにおける現代的実践に関する次の自著で言及したいと考えている。
TOKASの持つ緻密なネットワークは自身にとって大変有益であった。TOKASのイベントに来ていたアーティストたちは皆、印象的な活動を行いながら、レジデンスのアーティストたちと開放的に関わり合い、興味深い会話ができた。

「オープン・スタジオ」でのリサーチ・アーカイブのインスタレーション、2023年、紙、サイズ可変

「オープン・スタジオ」でのリサーチ・アーカイブのインスタレーション、2023年、紙、サイズ可変

「オープン・スタジオ」でのリサーチ・アーカイブのインスタレーション、2023年、紙、サイズ可変

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