更新日:2026.3.31
| 参加プログラム | 国内若手クリエーター滞在プログラム |
|---|---|
| 活動拠点 | 東京 |
| 滞在都市/滞在先 | 東京 |
| 滞在期間 | 2025年9月- 2025年11月 |
本プログラムの滞在場所である両国から近い地域にある「山谷」地域についてのリサーチを行いたいです。山谷はかつて日雇い労働の方が多く集まり、「ドヤ」と呼ばれる簡易宿泊所が立ち並んでいた地域ですが、現在では高齢化が進み日本有数の「ケアの街」でもあります。私は2014年に初めて同地域を訪れ、現在は同地域の介護施設で夜勤職員もしています。この10年の間でも街は変わり続け、記憶が失われかけています。私は存在を思い起こすことも「ケア」であると考え、このプログラムによって、山谷の記憶に向き合いたいと考えています。
・「山谷」地域に通い、歩きながら風景を丁寧に観察し、撮影を実施。かつての風景が失われつつある同地域において、過去の断片の発見と調査を通じた着想の獲得。
・「山谷」地域に居住する方とのコンタクトの実施と、対話の試み。その方の生活状況や在り方に応じた、記録方法の検討。
・ 私が勤務する「山友会」を中心とした、「山谷」地域におけるケア従事者へのアプローチと取材の実施。
・ 同地域を対象とする研究者や専門家との連絡の確立と、歴史的観点からの知見の収集。
・ 過去の風景を映したイメージの継続的な収集。地域住民が所蔵する写真の閲覧や、本・映画などの資料からの引用によるイメージの蓄積とスタジオでの展開。
山谷に住む個人の記憶に向き合いたいという思いから、滞在中は主に山谷地域でこれまで訪れたことのなかった場所(長く営む店舗・福祉施設・簡易宿泊所など)へ行き、住人の方との交流の中で様々な貴重なお話を伺いました。そして可能な場合は撮影の許可をいただき貴重な記録として残しました。同時に山谷の歴史に関する文献を調べ、東京都山谷対策本部や城北労働・福祉センターで従事される方に行政の近年の取り組みを伺いました。それらの活動を通して、より様々な視点から山谷地域の記憶と現在について考え、想像しました。

滞在アーティストのキム・スジョンさんと「ともにフェス&ノーヘイトパレード」に参加時の写真
写真:キム・スジョン

リサーチの風景

リサーチの風景

滞在アーティスト・キュレーターとの交流時の写真
今回の滞在では山谷地域に住む4名の方にそれぞれの同地域にまつわる個人的な記憶についてのインタビューを撮影させていただきました。オープンスタジオでは、現在の山谷の風景を記録した映像と共に編集を行い、一人の話を一人が視聴できる形で展示をしました。また2014年に出逢って交流していた男性の映像も合わせて展示しました。そして、そうした記録では取りこぼしてしまうような身体の記憶にまつわるパフォーマンスも行いました。 今回の制作・発表活動を通して同地域との関係が自分なりに深まったと感じているので、これからもそうした一つ一つの出逢いを大切にしていきたいと思っています。今回はオープンスタジオでの公開でしたが、山谷地域でのプロジェクトは続けていくので、今後はどのような発表形態が良いかも含め慎重に検討していきたいです。 また、今回同時期に滞在したアーティスト/キュレーター/リサーチャーと議論をする中でその率直な視点に何度も感化されました。今後も連絡を取り合って、お互いに良い影響をし合える関係を続けていきたいです。

オープンスタジオでの展示風景、2025年
写真:間庭裕基
オープンスタジオでの展示風景、2025年

オープンスタジオでのパフォーマンス、2025年
写真:間庭裕基

中間報告発表時の写真
写真:キム・スジョン