ソ・ケイミン

レジデンス・プログラム

リサーチ・レジデンス・プログラム

更新日:2025.9.22

ソ・ケイミン

参加プログラム リサーチ・レジデンス・プログラム
活動拠点ロンドン
滞在都市/滞在先東京
滞在期間2025年9月 - 2025年11月
滞在目的

レジデンスでは、父娘である芸術家・科学者デュオの中谷宇吉郎(1900–1962)と中谷芙二子(1933–)の生涯の業績、遺産、美術史的文脈を研究する。彼らの作品は、元素のメディア化と、メディアとしての元素との初期の関連性を体現している。東京での滞在をとおして、私は彼らの生涯の仕事のうち、この都市で展開された特定の側面を意図的に研究することが可能となる。例えば、宇吉郎氏が記録映画会社「岩波映画製作所」の設立に果たした役割や、芙二子氏が原宿に日本初のビデオ・アート専門ギャラリー「ビデオギャラリーSCAN」を設立した経緯などである。

滞在中の活動

 以下の機関におけるアーカイブ調査を実施:
 ・中谷宇吉郎記念財団およびかがく宇かん
 ・岩波映画製作所アーカイブ – 東京大学大学院情報学環(記録映画アーカイブ・プロジェクト)
 ・国立映画アーカイブ
 ・国立公文書館アジア歴史資料センター
 ・NTTインターコミュニケーションセンター(ICC)映像アーカイヴ・ライブラリー

滞在中に行ったリサーチ及び制作活動

プロジェクト「Film, Fog, Snow: Elemental Media of Nakaya Fujiko and Nakaya Ukichirō」は、地域を越えた政治生態学に関する戦後の代替的な歴史記述を解明するための「証人」としての天候の可能性を探る、私の広範な研究の一章を成している。レジデンシー期間中、霧の彫刻家でありビデオ・アーティストとして著名な中谷芙二子氏と、彼女の父であり、実験物理学者、随筆家、初期映画愛好家、そして世界初の人工雪の結晶を生み出した中谷宇吉郎氏の生涯の業績と遺産とのつながりを辿ることをとおして、「元素」をメディアとして捉えること、および「元素」のメディア化について探求した。
この探求は、地元のアーティスト、フィルム・アーキビスト、キュレーター、研究者たちとの出会いと対話を通じて行われた。彼ら一人ひとりが、独自の貴重な洞察をもたらし、それによって、アーティストの個人的な記憶やメディアへの献身が、冷戦時代の気象というより大きな物語とどのように結びついているかという、本来ならバラバラになりがちな糸を織りなす助けとなった。

滞在の成果

TOKASでのレジデンシーを通じて得られた時間と空間のおかげで、私は重要な新たなつながりを築き、中谷芙二子氏が父親の遺産を保存するために活動してきた、より広範な芸術的・文化的文脈について重要な理解を深めることができた。また、20世紀半ばの日本の戦時中および戦後直後の時期に、中谷宇吉郎氏の作品や思想を形作った歴史的・政治的状況についても理解を深めることができた。部外者という立場にありながら、中谷宇吉郎氏の遺産のさまざまな側面を保存するために携わる異なる関係者たちをつなぐ架け橋となることができたことを嬉しく思う。これらの関係者一人ひとりと個別に繋がりを築いたことは、私自身にとっても大きな研究成果をもたらした。例えば、中谷宇吉郎記念財団から中谷宇吉郎氏の出版された著作の抜粋(これらは豊富にあるものの、専門知識がなければ容易に見つけられないものばかり)や、記録映画保存センターから一時的な閲覧用にDVD形式の映画や映像資料(これらも豊富にあるものの、通常は無料で、あるいはこれほど短期間で閲覧できるものではない)などを寛大に提供していただいたことが、私自身の研究においても大きな成果をもたらした。
レジデンシー終了後も、私は中谷宇吉郎記念財団と連絡を取り続けており、2026年または2027年に日本へ再訪し、中谷宇吉郎アーカイブおよび石川県加賀市にある中谷宇吉郎雪の科学館のコレクションに関する研究をさらに深める予定。

画像

2025年10月11日、かつての岩波書店本社や岩波ホールからすぐ近い、神保町にある「神保町ブックセンター with Iwanami Books」を訪問

画像

2025年10月17日、フィルム・アーキビストの浜崎友子氏が、岩波映画製作所の科学教育映画を集めたDVD「たのしい科学教育映画シリーズ」を紹介。現代でもこれらの作品は、学校で活用されているとのこと。

画像

2025年10月29日、オープン・スタジオ準備中のテスト投影

画像

2025年11月2日、中谷芙二子氏の霧の彫刻「霧の森」で遊ぶ子どもたち。国立昭和記念公園にて。

クリエーター情報

施設案内
Our Facilities

ページの先頭へ