更新日:2026.6.5
| 参加プログラム | キュレーター招聘プログラム |
|---|---|
| 活動拠点 | シドニー |
| 滞在都市/滞在先 | 東京 |
| 滞在期間 | 2026年1月 - 2026年3月 |
このレジデンシーの目的は、エネルギーを帯びたオブジェクト、不可視の力、そして即興的に動作する機械によって構成される複雑なシステムを特徴とする、毛利悠子、宇治野宗輝、西條茜の独自の芸術実践を探究することである。技術革新と実験的な芸術実践の豊かな歴史を有する東京は、本キュラトリアル・リサーチにとって理想的な文脈を提供している。東京には数多くのギャラリー、展覧会、テクノロジー・ラボ、アーカイブが集積しており、アーティストの作品およびその歴史的・文化的意義について包括的な調査を行うことが可能である。 本レジデンシーでは、東京を拠点とする2名のアーティストとの交流に加え、彼らの作品を展示または研究してきた現地のキュレーターや理論家とのネットワーク構築も行う予定である。これにより、アーティストたちの方法論や主題的関心について、多角的な視点とより深い洞察を得ることができるだろう。さらに、東京の活気あるアートシーンに関わり、アートおよびテクノロジー関連機関を訪問し、新進気鋭のアーティストと出会うことで、実験音楽、メディア・アート、ロボティクスの間にある学際的なつながりをさらに探究することが可能となる。この研究を東京で行うことにより、現代美術における人間と非人間の存在との関係性がどのように進化しているのかについて、一層理解を深めることができるだろう。
・毛利悠子、宇治野宗輝、西條茜のスタジオを訪問し、インタビューを実施することで、彼らの芸術実践への理解を深める
・東京において、これらのアーティストの作品や、実験音楽、メディア・アート、ロボティクスに関連するプロジェクトを紹介してきた美術館、ギャラリー、アートとテクノロジーに関わる機関や研究所を訪問する
・アーティストと協働してきたキュレーターや理論家と交流し、新進の実践者に会う
・メモ書き、写真、録音などを通じて調査成果を記録する
・調査結果を分析し、アーティストの作品について執筆するとともに、今後刊行予定の論考に向けた理論的枠組みを構築する
・調査の予備的な成果を共有するための公開トークを準備・実施し、地域のアート・コミュニティとの対話やフィードバックを促進する
レジデンス期間中、数多くのスタジオ訪問やインタビューを行い、現代アーティストたちが非人間的な知性とどのように関わり、それを再構築しているかを調査した。その研究の一環として、「植物学的マインドマップ」を作成し、現在の芸術的実践と、より広範な歴史的・哲学的・科学的文脈とのつながりを追跡した。 これらの視覚的な研究ツールは、動物、植物、菌類からロボットや人工知能に至るまで、私たちを取り巻く数多くの非人間的な知性と共に考え、感じ、生きるための新たな枠組みを、芸術がいかに提供し得るかを探求するものである。

三上晴子《Desire of Codes》「知覚の霊廟へ向かって - 三上晴子のインタラクティブ・アート・インスタレーション」展より。2025年12月13日~2026年3月8日、ICC(インターコミュニケーション・センター、東京)
写真:ジェイソン・ジー

三上晴子《gravicells ― gravity and resistance(グラヴィセルズ―重力と抵抗)》「知覚の霊廟へ向かって - 三上晴子のインタラクティブ・アート・インスタレーション」展より。(2025年12月13日~2026年3月8日)
写真:ジェイソン・ジー
TOKASでのレジデンシーは、集中的なリサーチと人脈構築の期間として、期待を上回った。スタジオ訪問、インタビュー、機関との打ち合わせ、作品鑑賞を通じて、非人間的な知性を取り入れ、エコロジーとテクノロジーを織り交ぜた日本の現代美術の実践について、充実したリサーチ成果を積み上げることができ
た。特にアーティストの西條茜、志賀理江子、宇治野宗輝、そして上田麻希とのアトリエ訪問やインタビューは重要な出会いとなった。また、夢の島熱帯植物館で上田麻希のインスタレーション『Olfacto-Politics』を鑑賞した経験や、東京ノードでの藤堂高行によるロボット・パフォーマンス『Dog on a Leash』との出会いは、来日前には予想もできなかった形で、私の思考を大幅に深め、新たな方向へと導いてくれた。このリサーチの成果は、2026年にオーストラリア現代美術館(Museum of Contemporary Art Australia)でのキュレーション展示として展開される予定であり、レジデンス期間中に出会ったアーティスト、キュレーター、研究者たちとの今後の展覧会プロジェクトや継続的なコラボレーションの可能性も秘めている。

石巻にて志賀理江子さんにインタビュー、2026
写真:アンナ・デイヴィス

西條茜さんのスタジオへ訪問、2026
写真:アンナ・デイヴィス

根上 陽子さんと上田麻希のインスタレーション『Olfacto-Politics』を鑑賞、CCBT 2026
写真:アンナ・デイヴィス

山口情報芸術センター(YCAM)キュレーター、レオンハルト・バルトロメウス氏によるYCAMツアー
写真:ジェイソン・ジー
助成:ニューサウスウェールズ州政府
