宮内康乃

宮内康乃

MIYAUCHI Yasuno

更新日:2010.8.1

プロフィール
1980年東京都生まれ。東京学芸大学G類音楽科作曲専攻卒業。その後ジャンルを超えた新しい音楽表現に興味を持ち、情報科学芸術大学院大学(IAMAS)メディア表現学科タイムベースドメディア専攻に進学、作曲を三輪眞弘に学ぶ。在学中、電子音楽、サウンドアート、アルゴリズミックコンポジションなど、さまざまな表現を学び、修士制作として人間の呼吸の有機的な伸縮により音楽が構成されていく、女声のための合唱曲《breath strati》を作曲し、2008年オーストリア、リンツでの《Als Electronica》にてHonorary Mentionを受賞。また、同じく2008年より《breath strati》のコンセプトをもとに、単純なルールと身体の動きを用いた女性による音楽パフォーマンスグループ「つむぎね」を立ち上げ、活動を開始。2008年度トーキョーワンダーサイト主催EXPERIMENTAL SOUND & ART FESTIVALにて最優秀賞を受賞。
作品/パフォーマンスについて


プログラム・ノート―宮内康乃≪波紋 Ⅱ≫(2004, 改訂2009)
                               [clarinet, percussion, electronics, film] 


この作品は、音の響きの余韻や、音と音の「間」を特に表現したいと思い、作曲した。従って、フレーズやリズムではなく、音による空間上の空気の疎密変化を作ることを意識して、それを「水」という物質の、動きの揺らぎやうごめき、水面にひろがる波紋と重ねあわせて表現している。

また、この作品のもう一つの大きな特徴は、生演奏の楽器の音に加え、電子的に再編成されたスピーカーから出る音と、映像を含んで作られているということである。近年、音楽というのは楽器による表現に限らず、テクノロジーによりさまざまな新しい音表現が生まれてきている。また、私たちは世界を、音だけではなく、さまざまな感覚を通して享受している。今回は楽器の音色に加え、電子的な音表現と視覚的なイメージの融合により生まれる、新たな風景や感覚を表現できないかと思い、このような表現に挑戦した。3つの要素に主従関係がなく、3つを合わせることで初めて表現されるものを目指している。音響は、ほぼすべて水の音を素材として作られており、楽器の音では表現できないリアルな水の質感や、独特の響きを表すことを目指した。映像は、水の動きの表象的なイメージを表現し、水のさまざまな表情を視覚的に提示する。この3つの要素が重なりあって生まれてくる新たなハーモニーを構築することを目指している。

映像制作: 梶村昌世

(トーキョーワンダーサイト×N響「NEW PIONEERS―次世代の開拓者たち」公演パンフレットより)

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