奥村雄樹

奥村雄樹

OKUMURA Yuki

更新日:2013.6.1

プロフィール
1978年生まれ。2012年に東京藝術大学大学院博士後期課程修了。主な個展に「くうそうかいぼうがく・落語編」(2010、MISAKO & ROSEN)、単独の上映会に「ジュン・ヤン 忘却と記憶についての短いレクチャー」(2012、女子美アートセンター準備室、愛知県立芸術大学など)。主なグループ展に「Fuyu no tabi」(2012、Shane Campbell Gallery)、「VOCA展2012」(2012、上野の森美術館)などがある。近年は落語家や通訳家との共作によるプロジェクトを映像作品として発表。自身も翻訳家として活動するほか、実名あるいは変名で執筆も手がける。主な論考に山辺冷名義の「河原温の量子重力的身体--あるいは時空の牢獄性と意識の壁抜けについて」など。子どもを対象としたワークショップ「くうそうかいぼうがく」を各地で実施。
作品/パフォーマンスについて
私たちはそれぞれに固有の名前を持つ。僕の名前は奥村雄樹だが、あなたの名前はそうではない。けれども同時に、私たちは「私」や「僕」といった一人称を共有する。それは、特定の誰かを常に指し示すのではなく、そのつど発話している本人を指す(ある意味、とても幽霊的で不気味だ)。ある主体とある身体との不可分的な結びつき、つまり個人という単位の成立は、個別の名前(文脈独立的で交換不可能なもの)と同一の人称(文脈依存的で交換可能なもの)の併用によってこそ可能になるのではないだろうか。だとすれば、それは制度的に構築されたあやうい秩序にすぎないのかもしれない。僕の実践は、名前あるいは一人称の機能が誤作動するような場面を作ったり、両者の射程範囲を批判的に捉え直したりすることで、主体と身体との結びつきが本来帯びているはずの可塑性や多重性を活性化させ、それによって別の可能な世界を立ち上げる試みだと言えると思う。

okamura-1.jpg
ジュン・ヤン 忘却と記憶についての短いレクチャー、2011、HDV 27分38秒

okamura-2.jpg
くうそうかいぼうがく、2011、世田谷美術館分館 宮本三郎記念美術館でのワークショップのようす

okamura-3.jpg
くうそうかいぼうがく・善兵衛の目玉、2010、HDV 17分12秒

okamura-4.jpg
本日は晴天なり、2009、HDV 7分12秒、塩ビ管、スピーカー、アンプほか  サイズ可変 (曽我部恵一との共作) *青森県立美術館での展示風景 撮影:三澤章

okamura-5.jpg
日々この地球上の別々の場所で一体いくつのくしゃみがまったく同時に発せられているのだろう(フィンランド語版)、2010、バナー 65 x 490 cm *Cable Factory(ヘルシンキ)での展示風景

ページの先頭へ