志村信裕

レジデンス・プログラム

二都市間交流事業プログラム(派遣)

更新日:2019.11.26


志村信裕

参加プログラム 二国間交流事業プログラム(派遣)
活動拠点日本
滞在都市台北
滞在期間
2010年1月 - 2010年3月
滞在目的

昨年秋に参加した「黄金町バザール」では、かつて麻薬と売春の街として知られていた横浜市・黄金町に滞在し、パブリック・スペースでの新しい展開を示すことができました。その経験は地域社会という文脈の中、自分が取り組むべき新たな可能性を与えてくれました。今回の派遣でも継続して、歴史的に一層複雑である台北という街に関与した作品を投じていくことで新たなコミュニケーションを図ることを目的としています。

滞在中の活動

第1回 AIR! AIR! AIR!
2011年度 レジデンス・プログラム公募説明会
2009年度 レジデンス成果発表展覧会
「TOKYO STORY」
小学生を対象としたワークショップ
アーティスト・プレゼンテーション(台北國際藝術村)
元智大学アート&デザインコース2年生を対 象としたワークショップ、共同制作、講評
グループ展覧会「 AiR」
OPEN STUDIO( 台北國際藝術村)
2009年度 二国間交流事業(台北)派遣

作品モチーフのリサーチと研究。
パブリック・スペースでの展示場所のリサーチと交渉。
現地の美術大学生とのワークショップ、共同制作を予定。

滞在制作成果
今回の台北国際芸術村での滞在制作は自分にとって成功でした。何をもって自分にとっての成功かということを出発前に二点決めた。滞在した場所でしか作れない作品を作れるかどうか。現地での次の展示や仕事に繋がるかどうか。今回はその二点を達成することができたからです。今回二点の作品を制作、発表したが、まさに台北に行かなくては生まれなかったし、展示できなかったはずです。自分にとって初めての海外での制作、発表をする機会だったので、出発前は不安が強かった。特に自分はメディア機器を必ず使うので、どこまで自分の作品について理解され協力してもらえるのかが一番の問題でした。しかし台北国際芸術村の各作家の制作に対するサポート体制は予想以上に万全でした。特にディレクターのYaohuaとテクニカルスタッフのRobinの高い理解なしには成功できなかったと言えるくらい手厚い協力をしてもらえた。特筆すべきはボランティアスタッフの存在でした。主に20歳前後の若い人々が中心だったが、台北国際芸術村では毎年70名以上のボランティアが登録をして芸術村の運営を支えている。彼ら、彼女らはみんな口癖のように「何か手伝えることはないか」と常に滞在作家に対して協力的でした。今回制作した12万個の鈴をカーテン状に吊るしてスクリーンにした作品は、まさにボランティアスタッフの力なしには完成しなかった作品です。その作品を構想した時にどう考えても人手が足りないということを芸術村の自分の担当のスタッフに相談した時だ。「君達が驚くくらい沢山の鈴を使う作品をつくろうと思うけど大丈夫かな」と自分が言ったのに対して、「ここにはあなたが驚くくらい沢山のボランティアがいるから大丈夫」という言葉が返ってきた。実際に60名を越えるボランティアが僕の作品を手伝ってくれました。台北国際芸術村のスタッフからは今までこんなに多くの人を制作に巻き込んだのはあなたが初めてだ、と半ば呆れるように言われました。本当に信じられないくらいの沢山のボランティアの協力に対して感謝していると共に、そうした多くの人と制作を共にした関係は自分の果たした今回の交流事業の成果の一つだとも自負しています。
滞在中のリサーチについては、本やネットを極力利用せず、出来る限り自分の足で歩いて多くのものを現地で見て回った。気になったもの、疑問に思ったものや風景、習慣、言葉は写真に撮ったり、メモをして逐一スタッフに聞いていくことで自分にとっての台湾の印象やイメージを理解し、ストックしていった。この方法はアナログで時間がかかるが、自分にとって一番信用のできるやり方であった。
3月末の成果発表展では3ヶ月間の成果発表で終わらせるのではなく企画展に出展するくらいの高いモチベーションで臨んだ。それでも、言葉の壁(ディティールを伝えるのが難しい)や日本とは違う制作環境の中で、制作は予想以上に困難でした。スクリーンとプロジェクターの設営は全て現地のボランティアスタッフの協力だけという状況でした。そのため作品のクオリティに関しては展覧会オープニング時間ギリギリに完成というペースだったので満足に達していない。ただし、作品として自分独自の視点とアイデアを可視化することはできたので最低限の仕事は達成できたと信じている。実際に展覧会では多くの人が作品を体験し、驚き、自分の作品のアイデアに対して賞賛をしてくれた。
個々の作品に関しての課題は多いが、異国の地でゼロから作品を制作して、発表できた経験は今後の大きな自信になった。また、東京を代表して訪れたアーティストという立場ということもあり、様々な場所で作品をプレゼンテーションする機会に恵まれた。自分も日本にいた時よりも自分の作品を紹介するために積極的だったこともあり、3ヶ月間という短期間のあいだに計10回以上は自分の作品を現地の方にプレゼンテーションしたように思う。こうした日本ではなかった経験も今後の自分にとって大きかったと思うし、この滞在をきっかけに自分の意識が変わったように思います。
3ヶ月間はあっという間だったが、貴重な経験とありがたい出会いに恵まれた時間と機会になった。今回の交流事業の経験を活かして、今後も再び異国の地での制作と発表に対しての意欲が生まれた。

台北にある3つのギャラリー、台南にある1つのギャラリーが自分の作品に興味をもってくれたので今後の台湾での活動に繋げることができた。現時点で2010年内に2つの展示に招聘される予定。
また、現地のアーティスト、キュレーター、ライターとも交流が生まれたので、今後も連絡をとりあい、長期的な台北での活動に繋げていきたいと考えている。
交流事業成果
地元小学生との90分の映像を使ったワークショップ(1月29日)/ 台北国際芸術村
アーティスト・レセプションでの作品プレゼンテーション(1月29日)/ 台北国際芸術村
元智大学アート&デザインコース2年生との1週間のワークショップ、共同制作、講評
(3月5日~11日)/ 元智大学
グループ展覧会「AiR」(3月20日~4月25日)/ 台北国際芸術村
オープンスタジオ(3月20日、21日)/ 台北国際芸術村
アーティスト・トーク(3月21日)/ 台北国際芸術村
プロダクトグッズ制作: マグネットブックマーク / 台北国際芸術村

地元小学生との映像を使ったワークショップ

アーティスト・レセプションでの作品プレゼンテーション

ボランティアスタッフとの共同制作

グループ展覧会「AiR」オープニングの風景

グループ展覧会「AiR」アーティスト・トーク

オープンスタジオ

プロダクトグッズ制作: マグネットブックマーク Goldfishの写真が使われた。

元智大学アート&デザインコース2年生との1週間のワークショップ、共同制作、講評の風景

クリエーター情報

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