大坪 晶

レジデンス・プログラム

国内クリエーター制作交流プログラム

更新日:2019.8.27

大坪 晶

参加プログラム  国内クリエーター制作交流プログラム
活動拠点日本
滞在都市 東京
滞在期間 2019年9月 - 2019年11月
滞在目的

複雑に分断された文化や国境を持つ現代において、他者を有機的につなげる神話(作品)の共有によって対話し、歴史記憶の継承プロセスについての意見交換や、非言語的コミュニケーションである視覚表現によって相互理解を促進し、アイデアの交換を行いたいと考えています。

滞在中の活動(計画)

・9月 : 国立国会図書館にて文献・写真資料のリサーチ、残存する個人住宅の調査、制作交渉
・9、10、11月 : 暗室にて作品制作
・10月 : 都内の個人邸宅にて写真・映像作品制作
・10月 : PORT ART&DESIGN TSUYAMA(岡山/津山)「Shadow in the House」作品発表
・11月 映像編集、発表作品の実制作、インスタレーションの構築、実装

滞在中に行ったリサーチ及び制作活動

神奈川県を拠点に、歴史の背後に隠された個人の記憶を調査し制作を行なっている大坪晶は、戦後日本の西欧文化の受容と葛藤の過程を室内の痕跡から探る「Shadow in the House」プロジェクトを主導している。TOKAS 滞在中には、GHQ の施策により戦後占領期 (1945-1952) に接収された関東の個人邸宅 を調査し、ダンサーと協働した写真 / 映像作品の制作を行なった。並行して、 2018年より2回滞在調査を行なったアメリカ国立公文書館で収集したアーカイブ写真/映像の分析と研究、それらを利用した作品制作も行なっている。写真や映像にフィクショナルな操作を加えることで、史実を寓話的な記憶として提示しようと試みている。

滞在の成果、今後の活動の展望

2017年より第二次世界大戦後にGHQとイギリス連合軍 BCOFの命を受けた日本側の調達局から、取り上げられた個人邸宅「接収住宅」は全国で約3000件あり、残存する邸宅で、ダンサーの身体の動きの痕跡を写真の中に写し込んだ作品の制作を全国各地で行っている(現在18件撮影済)。まず、作品のリサーチを行うための文献調査を行い、東京(19件)、埼玉(1件)の邸宅が残存していることが判明した。その後、住宅所有者/管理者への交渉を6件行った。 (3件撮影許可、3件不可)。調査と交渉の為に、メール49回、電話11回、現地調査を6回行った。撮影は、10月17日に旧山田家住宅(東京/世田谷)、11月11日、旧前田侯爵邸(東京/駒場) 12月5日、石川組製糸西洋館(埼玉/入間)で行い、現在も引き続き製作中である。反省点として、現地調査をより広範囲に時間をかけて行うことが必要であったことが挙げられるが、それは今後も引き続き行って行きたい。 今後は、TOKAS本郷で行われるレジデンス成果発表展、また他の展覧会でも発表してゆく予定である。また、収集したアーカイブの整理と論文執筆、記録映像をファウンドフッテージとして使用した映像作品の制作にも注力する予定である。

オープンスタジオでの展示風景1

オープンスタジオでの展示風景2

オープンスタジオでの展示風景3

《Shadow in the House_ Former Yamada House (Setagaya, Tokyo)》、Type C Print、2019

《Shadow in the House_ Former Maeda Family's Principal Residence (Meguro, Tokyo)》、Type C Print、2019

旧前田侯爵邸宅調査風景

クリエーター情報

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