更新日:2025.9.3
| 参加プログラム | 二都市間交流事業プログラム(派遣) |
|---|---|
| 活動拠点 | 東京 |
| 滞在都市/滞在先 | バーゼル/アトリエ・モンディアル |
| 滞在期間 | 2025年4月 - 2025年6月 |
今回のプログラムでは、紙と印刷の街としてのバーセルの土地・風土を活かし、製紙と印刷について研究、制作をします。オルタナティブな材料で行う紙漉きと、印刷技術を情緒的価値から見直すインスタレーションの制作を計画しています。この制作は、プロセスの記録も並行して行い、技術と人間、自然との関わりを視覚表現に落とし込むための実験となります。今回の試みを通じて、今後の制作において的確な表現の選択と、選択の可能性の幅を広げることを目指しています。
記憶を帯びた素材に手を加え、自然との応答としての手仕事から、ものと身体、環境の関係性を掘り起こそうとする村上は、滞在中、バーゼル郊外のメリアン・ガーデンで植生や管理についてリサーチを重ねました。自然と都市が交差する土地の特徴を反映し、日々園内で廃棄される植物から、庭の植生や季 節の色を反映する紙づくりを展開。制作した紙はインスタレーションとして発表され、さらに庭、環境、紙との関係性を映像作品にするため撮影を行いました。

繊維づくりの様子

紙づくりの様子
植物を用いた紙漉きの技術を習得し、展示まで実現できたのは大きな成果です。素材に向き合う過程で、自然・化学・時間の関係への繊細な感覚が養われました。一方、展示準備に早期から着手していれば、さらに発展できたと思います。特に版画への展開ができなかったのが心残りです。今後は、通常は紙に用いられない植物素材を探求し、自然と人の関係性を痕跡として可視化するようなインスタレーション作品へと展開したいです。

オープン・スタジオの様子

展示オープニングでの作品ツアーの様子

展示場所で紙の説明をする様子

《メリアン・ガーデンズの紙》2025、植物繊維、サイズ可変

《痕跡の紙/雨垂れ石を穿つ》2025、植物繊維、可変