更新日:2025.5.21
| 参加プログラム | 海外クリエーター招聘プログラム(テーマ・プロジェクト) |
|---|---|
| 活動拠点 | マドリード |
| 滞在都市/滞在先 | 東京 |
| 滞在期間 | 2025年5月 - 2025年7月 |
TOKASでは「ムーンショット型研究開発制度 目標8」を中心的な事例研究として位置づけ、気候シミュレーション、気象工学、環境ガバナンスの交差領域を探る学際的なリサーチプロジェクトに取り組む。 滞在をとおして、関連施設でのフィールドワークや映像撮影、第一線の研究者や機関との交流、そして現地の専門家たちと協働する貴重な機会を得たいと考えている。東京を拠点とすることで、これらの技術を固有の制度的および文化的文脈の中で探究することが可能となり、場所に根ざしたアーティスティック・リサーチをとおして、技術的・政治的・空間的な側面を反映したオーディオ・ヴィジュアル作品を制作したいと考えている。
日本でのレジデンス期間中、気象工学の分野に焦点を当て、NIED(防災科学技術研究所)、JAMSTEC(海洋研究開発機構)、JST(科学技術振興機構)などの政府系機関と協働したことで、国内各地の学術・研究施設と広範に関わることができた。これらの施設でフィールドワークを行い、気候観測、モデリング、シミュレーション、介入を可能にするインフラを記録した。また、技術的側面だけでなく、気象制御を取り巻く規制の枠組みにも踏み込んで、専門家や研究者へのインタビューも実施した。 技術官僚的な領域を越え、日本における気象との関係性を民族誌的な視点からも探求した。気候に影響を与えることを目的とした伝統的な祭りに参加し、またその歴史的慣習を調査することで、現代の気象制御プログラムを、より広い文化的・歴史的文脈の中に位置づけることができた。こうしたアプローチによって、人類が大気のパターンを理解し、形成しようとする持続的な欲望に光を当てることができた。

『Rainmakers』より静止画(2025)

『Rainmakers』より静止画(2025)
このレジデンスにおける主な成果のひとつは、TOKASチームの仲介によって、日本における「ムーンショット目標8」イニシアティブについて、現地の文脈の中で直接的かつ深い理解を得られたことだ。プログラムの構造、目的、そしてマイルストーンについて、包括的に把握することができた。もうひとつの重要な成果は、通常は立ち入りが制限されている、あるいはアクセスが極めて困難な研究者のプロファイルや研究施設に特別にアクセスできたことだ。このレジデンスを通じて、そうした場所での撮影が可能となり、通常では決して入手できなかった映像素材を記録することができた。振り返ってみても、別のやり方をとるべきだったと思う点は特にない。このレジデンスは理想的な形で展開したと言える。

『Rainmakers』より静止画(2025)

『Rainmakers』より静止画(2025)

『Rainmakers』より静止画(2025)

『Rainmakers』より静止画(2025)