更新日:2026.4.27
| 参加プログラム | 海外クリエーター招聘プログラム(個別プロジェクト) |
|---|---|
| 活動拠点 | 重慶/アムステルダム |
| 滞在都市/滞在先 | 東京 |
| 滞在期間 | 2026年1月 - 2026年3月 |
やきいもほど東京の雪の日にぴったりのものはないだろう。TOKASでは、必ずしも文字通りの形をとらない「移動やきいも屋台」を制作したい。本プロジェクトは、江戸時代の料理書『芋百珍』をもとに、さつまいものレシピを通して、記憶がどのように共有され、再構築されるのかを探求する。
この「屋台」は江戸時代のさつまいもの町・川越から始まり、茨城の干しいも神社へと移動し、さらに南下して芋焼酎を一口味わうために鹿児島へ向かう。また、アニメや日本のポップカルチャーにも広がり、さつまいもは世界のメディアにおいてイメージやジェスチャー、社会的なサインとして流通していく。
TOKASでのレジデンシー期間中、私はサツマイモの文化的・歴史的・空間的側面をめぐるリサーチベースの実践を展開した。『芋百珍』を起点として国立国会図書館でアーカイブ調査を行い、レシピの域を超えて食文化と都市史の広範な問いへと導かれた。フィールドリサーチの中心は川越に置き、アーカイブ・広告・博物館コレクションを調査しながら、江戸期の流通から戦時・戦後の体制への変遷を辿った。そこには台湾や済州島における植民地史との接続も含まれており、「熱帯」的想像力が構築・動員された地としてのそれらの歴史にも着目した。「熱帯」と「南」をめぐる問いとの関連から、植物園も訪れた。サツマイモには日常的な実践を通じてアプローチし、日常的な消費・季節的経済・歴史的条件を横断するその移動を辿った。また、甘さを通じてその物質性を実験し、バイオベースの布地へと翻訳する試みも行った。

瀧泉寺, 「甘藷先生」青木昆陽紹介パネル

川越氷川神社でのさつまいもみくじ

川越の焼き芋自動販売機

焼き芋カート試作の様子
レジデンシーを通じて、アーカイブ・空間・物質へのアプローチを結びつける多層的なリサーチの枠組みを構築することができた。当初は日本に来るきっかけとなった継続的なリサーチ上の関心から出発したが、フィールドワークと地域的文脈との関わりを通じて、サイトスペシフィックな条件に根ざした参加型の焼き芋カートプロジェクトへと発展させた。DIYエレクトロニクスと簡易プログラミングを用いて制作するのは今回が初めてであり、主にレンズベースだったそれまでの実践からの転換を意味した。この転換はまた、インフラや家電製品が日常生活と共存するサイバーパンク的連想を持つ、重層的な都市環境としての東京への応答でもあった。オープンスタジオで発表したサイト・レスポンシブな作品と並行して、TOKASでのリサーチは日本にとどまらず、「熱帯」的・南方的想像力がいかに構築されるかという広義の問いへと展開している。この枠組みのもと、映像インスタレーション《Why Can't the Tropical Be in the Dirt?》の制作を開始した。時間と制作環境の制約から完成には至らず、今後の発展に向けた準備的リサーチとロケーション調査に注力した。

《Roasting in process…》(仮題), 2026
さつまいも, 四駆ラジコン, サイズ可変

《Roasting in process…》(仮題), 2026
さつまいも, 四駆ラジコン, サイズ可変

さつまいもの糖分を培養セルロースシートに反映している様子