更新日:2026.10.28
| 参加プログラム | 二都市間交流事業プログラム(招聘) |
|---|---|
| 活動拠点 | ブリュッセル |
| 滞在都市/滞在先 | 東京 |
| 滞在期間 | 2026年5月 - 2026年7月 |
滞在期間中は、日本語におけるオノマトペの使用について研究する。具体的には、聴覚以外の現象を模倣するオノマトペである「擬態語」に焦点を当てる。
「擬態語」を、私が「アコースマティック・オブジェクト(acousmatic objects)」と呼ぶ概念と並行するものとして捉える。これは、音を発しないにもかかわらず、音を暗示したり喚起したりする無音のオブジェクト。両者は、視覚と聴覚の狭間において、直接的な知覚ではなく想像力を通じて機能する。
日本語の文法的・感覚的な繊細さに深く向き合うことで、私は「聴くこと」と言語がいかにして共創的な行為となり得るか、すなわち、具体的と想像的、語られたものと聴かれたものとの間を交渉する行為となり得るかについての理解を深めたいと考えている。
レジデンシー期間中、日本語のオノマトペ、とりわけ音のない現象や状態を表す「擬態語(gitaigo)」をリサーチした。これらの言葉に宿る、日本文化に共有された「音の想像力」に着目し、言葉と身体、音との関係を探った。
地域の人々へのインタビューに加え、参加型のアプローチを取り入れ、アーティストやミュージシャンとともに擬態語を想像し、声や身体、楽器を使って模倣する試みを行った。言語学的なリサーチを出発点として、アーティストたちとのフィールド・レコーディングを行い、収集した音をともに聴くリスニング・セッションを開催した。
また、東京のさまざまなコンサートや即興音楽の現場を訪れ、即興音楽シーンで活動するミュージシャンたちと交流した。プロジェクトのための音楽の録音を行うとともに、地域の人々から声による擬態語の模倣を収集した。こうしたリサーチと共同制作を通して、擬態語が喚起するイメージや感覚、そして言葉から音へと広がる想像力を探った。

集合リスニングセッション

オープンスタジオ風景
《Six Gitaigo (Field Recording)》2026年、サウンド、30分
© 間庭裕基
本リサーチを通して、日本文化における擬態語(gitaigo)と、それに結びつく音やイメージを記録・想像するための三つの方法論を提示した。具体的には、フィールド・レコーディング、音楽的な即興、声によるレコーディングという三つのアプローチを展開した。
日本語を対象としたリサーチであったため、その実践は日本という文化的・言語的文脈と密接に結びついた。一方で、ここで提示した方法論は、異なる言語や文化的文脈においても応用可能なものとして位置づけられた。
レジデンシー期間中に制作した音源をもとに、今後は音楽作品のリリースを予定している。また、機会があれば、東京および日本各地でのリリース・ツアーを展開することも構想している。さらに、日本の文脈において、今回十分に展開できなかった他の方法論についても継続的なリサーチと制作を行う可能性を残した。
当初は、レジデンシーの成果として本リサーチに関連するヴィジュアル作品の制作も構想していたが、限られた期間の中では十分な展開に至らなかった。そのため、今回の成果におけるヴィジュアル面でのアウトプットは最小限にとどまった。

オープンスタジオ風景
《Six Gitaigo(Voice Recording)》 2026年、サウンド、9分01秒
《Six Gitaigo(Music)》— 右側 2026年、サウンド、62分21秒
© 間庭裕基

オープンスタジオ風景
左壁:《Six Gitaigo(リスニング・セッションから生まれたドローイング)》
2026年、紙にインク、可変寸法
右壁:《Six Gitaigo(フィールド・レコーディング)》
2026年、サウンド、30分
© 間庭裕基