アダム・ルイス・ジェイコブ「_____」

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本郷

アダム・ルイス・ジェイコブ「_____」

OPEN SITE 10|【TOKAS推奨プログラム】

資本主義が築いた建築と、それに囲まれた親密な居住空間の両方に語りかけるインスタレーションにより、外部構造としばしば見えなくなっている内部構造を往来しながら、身体がそれらのシステムにどう動かされ、形づくられ、時に抗うかを探る。 格子状の都市の配置や狭い路地の閉塞感、秩序を装う迷路のような都市設計を視覚言語として用い、パフォーマンスや映像をとおして、建築や習慣、制限が身体に刻む資本主義の痕跡を考察する。

会期
2025年11月22日(土) - 12月7日(日)
休館日月曜日(11月24日は開館)、11月25日(火)
時間
11:00-19:00
入場料
無料
会場
トーキョーアーツアンドスペース本郷 スペースC(3F)
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《Shots (Flowers)》2023/2025

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《Ecstatic _____》2023/2025

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《Ecstatic _____》2023/2025

《Ecstatic _____》2023/2025 

《Ecstatic _____》2023/2025

《Ecstatic _____》2023/2025


関連イベント

パフォーマンス&アーティスト・トーク
日時11月29日(土)16:00–17:30
内容・キヤスリョウスケによるパフォーマンス
・アダム・ルイス・ジェイコブによるアーティスト・トーク

 キヤスリョウスケ
スネアドラマー/ドラマー。 2003年よりソロとしてのライブ活動をスタート。Jazzミュージシャンやノイズアーティストとのセッション、SETE STAR SEPT、Kiyasu Orchestraのドラマーとして活動。 2022~24年に、ドイツのÜberschlag Festival、フィンランドの Outsider Art Festival、イタリアのDr. Martens Fest など欧州の主要フェスで招聘された。現在まで世界55カ国をツアーし200を超える作品(関連作含)が世界各地のレーベルよりリリースされている。 http://jp.kiyasu.com/
言語(トーク)日英逐次通訳
料金無料
- 予約制
- 9月12日(金)14:00より予約開始
- 定員になり次第、または前日17時までに予約受付を終了します。
会場 トーキョーアーツアンドスペース本郷 スペースC(3F)

https://os10-adam.peatix.com/view
9月12日(金)14:00より予約開始(外部サイトに遷移します)
※Peatixのアカウント登録とログインが必要です。

プロフィール

グラスゴー拠点のアーティスト、映像作家。リサーチの再解釈や歴史の再活性化をめざし、即興、パフォーマンス、サウンドを用いて、私たちの生活を支配する構造と、それに疑問を投げかける反体制的な形象を探究する。主な展覧会に「Idrish」(LUX、ロンドン、2022年)、主な受賞歴に「Glasgow Short Film Festival」審査員特別賞(2022年)など。2022年度二国間交流事業プログラム<エディンバラ>招聘クリエーターとしてTOKASレジデンシーに滞在。

カタログ

出版物ページより「OPEN SITE 10」各作家のカタログをダウンロードできます。ダウンロードはこちら

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レビュー

支配される風景、逸脱する身体

植田かほる(トーキョーアーツアンドスペース)

 2022年度二国間交流事業プログラム<エディンバラ>の招聘クリエーターとして、TOKASレジデンシーに滞在したアダム・ルイス・ジェイコブは、私たちの日常生活を支配する社会の構造と、それに疑問を投げかける人々に関心をもち、商業主義や権威主義などに対抗する文化への関心にもとづいて制作している。本展では、滞在時に日本ヌーヴェルヴァーグと左翼運動について行ったリサーチと、撮影した東京の都市景観、スネアドラマーのキヤスリョウスケによる即興パフォーマンスを織り交ぜた映像作品を中心に展開した。
 観客は階段をのぼって3階にある会場に向かう途中、踊り場に設置されたブラウン管テレビの映像作品に出合う。鮮やかな色彩、凄みのある声で構成された映像には、ルイス・ジェイコブが東京で行ったリサーチをもとに、アンドリュー・ブラックが執筆したテキストを用いたナレーションが加えられている。そこでは、固有名詞や歴史事件を断片的に提示することで、1968年前後の日本における政治的暴力、都市化、反体制文化の重層性が、主体の「_____(空白)」を通じて語られている。
本作は1960~1970年代の日本ヌーヴェルヴァーグ映画から影響を受けている。見るという行為そのものを不安定化する実験的な手法や、スクリーンを横断する構成を用いて映像作品の制作に取り組むようになったルイス・ジェイコブは、リサーチを進めていくうちに、文化、社会、政治との関係から風景を表現していく「風景論」に関心をもち、足立正生の映画『略称・連続射殺魔』と、映画評論家の松田政男の思考に強く感銘を受けた。また、中平卓馬の大胆なコントラストと不鮮明な輪郭を写す白黒写真に漂う趣深い質感を、視覚言語の参照に取り入れた。トニー・モリスによるナレーションは、威圧感のある声のトーンで吹き込まれた。2021年にイギリスの出版社から刊行された鈴木いづみの『ぜったい退屈』を読んだルイス・ジェイコブが、彼女の文章から緊張感と異質さを感じ、ナレーションの声のトーンを決める際に影響されたそうだ。
 会場に入ると、広々とした空間に、隣り合わせに自立したスクリーンに映した2チャネル映像作品が目に入る。土台となる2023年にエディンバラで発表した映像では、キヤスの即興演奏に、松本俊夫の実験的な映像作品に影響を受けた構造的モンタージュの技法を融合させた。今回東京での発表に際して、ヴィオラ奏者アイルヴ・ニック・オイレアハと、サウンド・アーティストでダンサーのビアンカ・スカウトによるパフォーマンスを新たに追加し、作品を拡張した。映像全編に響き渡る演奏のリズムに、都市景観の描写と街を彷徨う演者の動きが共鳴していく。都市空間における身体のあり方への興味をもち、資本主義の思惑が反映された都市空間の設計によって、私たちの行動が無意識的に制御されていると感じたルイス・ジェイコブは、キヤスの自由なパフォーマンス、音に呼応して身体が縦横無尽に動くその様に、対抗的な姿勢を見出し、それを軸として映像を構成した。 また、2つのスクリーンを行き来するスカウトは、誰かに追われているようで、何かを追跡しているようにも見える。観客の目は彼女を追って街を徘徊すると、予期せず彼女に見つめ返される。「見る」と「見られる」の概念を、映像とスクリーンの裏に見え隠れする彫刻作品をとおして提示する。
 会場には、レコードカバー、プラスチック製のシャンパングラスやプラグなど、市場やチャリティーショップで見つけた既製品を用いて制作した彫刻作品が点在する。本来の機能を覆し、制作のプロセスに偶然性を取り入れたこれらの彫刻作品は、ミュージシャンの即興演奏のように、場所に呼応した形で、空間を活性化するように配置された。 映像、音、彫刻が相互に作用する空間の中で、観客は都市に潜む支配のリズムと、それに応答する身体の自由な動きの狭間に立ち会うことになる。ルイス・ジェイコブは、歴史的な思考や表現へのリサーチを手掛かりに、今日の都市で生きる私たちの視線や振る舞いが、どのように形成され、またどのように解放されうるのかを問いかける。

参加クリエーター

アダム・ルイス・ジェイコブ

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