井原宏蕗

レジデンス・プログラム

二国間交流事業プログラム(派遣)

更新日:2019.3.18

井原宏蕗

参加プログラム二国間交流事業プログラム(派遣)
活動拠点日本
滞在都市/滞在先ベルリン/クンストクアティア・ベタニエン
滞在期間2019年4月 - 2019年6月
滞在目的

今回のレジデンスではフィールドワークを軸に、今まで行ってきた生き物が生きた痕跡を探しながら、ドイツに根付く伝統的な陶芸技法をリサーチして、両者を掛け合わせたいと考えている。東洋が起源である陶の文化は、世界各地で、その土地の地質や風土に由来しながら、独自の技や文化が生まれ発展をしてきた。ドイツは世界的に有名なマイセンブランドがある国であり、陶器や磁器が身近に親しまれている。このような陶文化があるドイツの土で作品を作ることでそこに根付く文化を、作品制作を通して体感できればと考えている。

滞在中の活動(計画)

-滞在中はベルリンの都市にあるミミズの土で出来た糞塚を採取し、そのままの形で焼成し彫刻化するプロジェクトを行う。
-またそのプロジェクトに滞在先であるドイツに根付く陶器の歴史や文化を取り入れ更なる発展をさせたいと考えている。
-滞在期間中はベルリンを拠点にフィールドワークを行い、なるべく多くの異なる環境下で行い、多くのサンプルを採取し、地質や性質の違いなどを調査したいと考えている。
-またその行為を映像で記録し、最終的には出来た作品と一緒に展示をすることで一種のドキュメンタリー性を備えた展開も考えている。
-滞在の最後には現地で見つけた素材で作った作品を展示して成果の発表を行いたい。

滞在中のリサーチ及び制作活動

ミミズは無機物を有機物に変えてくれる存在で生態系の循環において大きな役割を担っている。そんなミミズが排泄する糞塚は、土であり、排泄物であり、生き物がいた痕跡であり、ミミズが造った彫刻である。私はそんな糞塚を研究素材に、滞在先のベルリンを中心にドイツ全16州に足を運び、各地で糞塚の採取と土に関するリサーチを行った。この行為から、土は場所によって硬さや色などが違うことと、どんな環境下でもミミズが同じように生態循環に貢献していることに感動した。研修の最後には、展覧会を開催し、生の糞塚(有機物)と焼成した糞塚(無機物)を対比させるように展開し、さらに作品を壊すことで「土に戻す」パフォーマンスを行った。

滞在の成果、今後の活動の展望

3ヶ月弱という滞在期間で作品を制作し現地で発表を行うというタイトなスケジュールの中、プランの練り直しから始め、最終的に現地で発表を行うことができた。展覧会には7日間で来場者は200人以上を数え、現地での反応を直に感じることができた。 今後も、ミミズの糞塚の研究を世界各地で行い、それぞれの差や、そこからくる文化の違いなどを研究して行きたい。

「worm in progress」ミミズの糞塚,焼成したミミズの糞塚、2019

「worm in progress」ミミズの糞塚,焼成したミミズの糞塚、2019

「frame in ground」ミミズの糞塚、焼成したミミズの糞塚、額縁、2019

「frame in ground-raw」ミミズの糞塚、額縁、2019

「made in ground-gold」焼成したミミズの糞塚に金彩、金、写真、2019

「walk around in Germany」ドイツ各地のミミズの糞塚、2019

Performance 「worm in progress」
Performance by Shomura Nobutaka、06/23/2019

クリエーター情報

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